2011年12月12日

保育環境評価スケール解説

評価実習のやり方−一日集中型(定型)と分散型(非定型)

基本的な考え方
 評価実習は、実際に保育を観察し項目をチェックする部分と、結果を持ち寄ってすり合わせをする部分と大きくは二つに分かれます。基本的には1日にまとめて、午前中に観察、午後に検討会というのがオーソドックスなやり方です。

 ただ、保育士の仕事は分刻みと言ってもよく、自園であってもなかなか自分のクラスを抜け出して他のクラスの観察に時間を費やすことは難しいものです。その場合は3日程度観察期間に設定して、何度かに分けて観察を行うというやり方をとりましょう。

 ポイントは、観察と結果の話し合いが両方必要だということです。また、何回か行うことが「熟達」のためには必要です。何度も行うことで見方が分かり、項目チェックの要領がつかめてくると、その背景にある事象(ものやこと)が見えてくるようになり、それらの関係性が見えるようになります。習うより慣れろ、です。

観察の仕方と留意点
 スケールの本(対象クラスの年齢に応じて幼児版あるいは乳児版)、スコア・シート、鉛筆(間違ったら消しゴムで消せるように)を持ちます。クラスの中で、子どもの活動の妨げにならないところで観察をし、スケールを読みながらスコア・シートのチェックボックスにひとつひとつチェックを入れていきます。チェックをして当該項目の評点をだし、各項目のボックスの上にある1から7の数字のところに〇をつけ、評定点とします。

 園庭に出ていくこともあるので、外靴は着脱が容易なものにして下さい。

 この時、推測で判断するのではなく、現実に起きたこと・あるものに基づいて判断します。事実が観測できない場合は、あとで質問をしてその内容から判断します。項目の順に観察をすすめるのではなく、ページを行きつ戻りつ目の前に起きたことをチェックするのです。ですから、観察を終えた項目については「評定点に〇」もしくは「後で質問のしるし」をつけて、観察を終えていない項目と区別し、観察を終えてクラスを出る時は全項目のチェックを終えていることが求められます。後から「あれはどうだったろう・・・」と思い出すことは至難の業です。

 自然な表情を保ち、評定者同士で話をすることは極力避けます。大声で感想を言ったりすることはもってのほかです。子どもに対してはとても危険な状況にない限り、基本的にかかわりません。クラスの先生が気を使って(あるいは自分の緊張をほぐすために)観察に来た先生に挨拶をさせることがありますが、必要ありません。

 登園のようすが観察できる時間帯から対象となるクラスに入室し、昼食の様子を観察するくらいまで在室します。登園時の対応、子どもがトイレに行ったとき、これらはその時にしか観察できませんから、ほかのことを観察しているときでもそちらを優先します。少し早めに入室して、部屋の感じをざっとつかんでおくと観察がしやすいです。園外保育に出かけることは、できれば見合わせてもらいます。なぜなら園庭と室内にいるのと異なり、保育者の対応や子どもどうしのやりとりを観察することが難しいからです。


評価実習中の学生(手前)

評価実習中の学生(手前)

(この項続く)

喫茶店埋橋のつぶやき
 観察に入られるのは緊張します。しかも「評価」されるなんて、たまったものではありません。ただし私の経験では、緊張したとしても、見られて100%嫌がる人はいません・・・まあ五分五分か、四分六か七三か、嫌な気持ちと嫌でもない気持ちの割合には差があるかもしれません。
 「透明性」とか、「説明責任」とか、いろいろな言葉がありますが、保育が閉ざされた空間ではなく、開かれていることが大切と思います。評価されることと「監視」されることは違います。評価とは「現状の把握」であり「次に打つ手を考える」ためのものです。それは一人で行うよりも、ほかの人との話し合いながら知恵を出し合う方が効果的なのです。新人には新人のフレッシュさやバイタリティがあり、ベテランにはベテランの味や熟練があります。それぞれの保育をオープンにして、共通の尺度を以て事実を吟味することでそれぞれの持ち味も浮き彫りになります。

ひらめき保育環境評価スケール研究会のHPもご覧ください。
posted by うずちゃん at 09:07| Comment(2) | 保育環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月11日

保育環境評価スケール解説

人の保育を観察する = クリティカル・シンキングでいこう

もし自分の保育に改善すべき点があるとしても、人から言われて改善できるものではない、と思った方が現実的です。人から言われてよくなるものではありません。自分が気付き、自分で「良くしよう」と思わないと、人は変われません(保育は変わりません)。

スケールを使うことの利点の一つは、「共通の物差しをもって見る」ことにあります。たとえば、幼児版の<9.登園/降園>の項目では、子どもが登園してきたとき(降園するとき)の状況に注目します。その時の保育者の言動に注目するのですが、登園に注目すれば「子どもは暖かく迎えられているか=子どもが来た時に“よく来たね”と認められているかどうか」、その次のレベルとして「一人ひとり迎えられているか=名前を呼ばれるなど、“個別的な対応”が行われているか」、さらに「必要があれば活動に入れるように手助けされているか=子どもの園での生活の始まりが適切に行われているかどうかの“状況を把握”しているかどうか」の3点に絞って見るのです。

この点に注目して対象クラスの保育者の言動を観察しますが、このとき観察者は目の前の事実を観察しながら、自分の保育を思い返しているのです。保育者が一定の規準を以て人の保育を見る時、必ず同時に同じ規準を以て自分の保育を見直しているのです。つまり人の保育を見ながら、自分の保育を振り返っているのです。

例に沿っていえば、よそのクラスで登園時の状況を項目に沿って観察しながら、「自分はどの子どもも見ているかしら?」「そういえばいつもあの子は知らないうちに部屋にいる」「あの子のお母さんとあいさつしたことがない」など様々に思いめぐらすのです。

このように、項目に基づいて=一定の規準に沿って、「人のしていることを見ながら」「自分が何をしているかを意識に上らせて、どんなつもりでやっているのかを考え直す」、これを心理学の用語を用いて難しくいうと「批判的思考 クリティカル・シンキング critical thinking 」といいます。「相手を批判する思考」とは限らず、むしろ自分を見直すことになるのです。
「批判」という言葉を使うと「非難」と受け取られてしまうかもしれず、あえてカタカナで言います(私はカタカナが多すぎる、とよく言われるのですが)。クリティカル・シンキングのポイントは、そこに「規準」がある、ということです。
「基準 スタンダード standard =こうあらねばならない」(「最低基準」みたいに)ではなく「規準 クライテリオン criterion = 判断のめやす」です。読み方が同じで紛らわしいので教育の現場では「きじゅん」ではなく「のりじゅん」とわざわざ言ったりする言葉です(「私立」を「わたくしりつ」と言い換えたりするように)。基準と規準はどう線引きするのか、ということを言い出すと微妙になります。なぜならどんな判断項目であれ背景には一定の価値観が存在するからです。まあこれ以上言いだすとややこしくなりますので、興味のある人は心理学や教育方法の本を紐解いてください。

実際のやり方は、次回から。

韓国のある保育室


韓国のとある保育室"

韓国のある保育室。伝統的な床暖房「オンドル」があるので、床に座る形なのがおもしろいですね。


喫茶店埋橋のつぶやき

保育を見せてもらうと、「良くない点を指摘してください」と、よく言われます。その言葉を真に受けて率直に指摘しても、ろくなことはありませんでした。
誰も楽に保育をしているわけではないので、その努力を認められることを求めており、改善点を示されるとその努力が認められなかったという被害感情の方を刺激してしまうからでしょう。私は「非難」をしているつもりは全くないのですが、たぶんそう受け取られるのだと思います。
何度か苦い思いをしたので、「良い点しか指摘しない」ことにしました。「良くない点を指摘してください」というのはきっと「ご配慮」なのでしょう。「せっかく来てくれたのだから何か言わせてあげよう」というご厚意ですから、「お気持ちを受け止め、良い点を申し上げる」のが大人のマナーというもの。
いえいえ「良い点を指摘される」と人間は却って自分で「良くない点」を自覚するのでしょう。私も修行が足りません。

ひらめき保育環境評価スケール研究会のHPもご覧ください。
posted by うずちゃん at 09:17| Comment(0) | 保育環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月08日

保育環境評価スケール解説

埋橋玲子@保育環境評価スケール
7月の半ばごろ私のPCがダウンしてしまい、そのままずるずるとブログをお休みしてしまいました。猛暑と残暑に負け続けていましたが、気温も下がり平年並みになってきました。これを機に再開します。

晴れ直近のスケール入門講座は以下の通りです;

日時 2011年11月22日(火) 18:30〜20:30

場所 京都キャンパスプラザ(京都駅北徒歩2分)

          
お申込み・お問い合わせ   神戸コダーイ芸術教育研究所

   TEL:078−451−9010  FAX 078−411−9068
     Eメール:kobe-koken@w6.dion.ne.jp

晴れその他 講習会 

名称  CHS子育て文化研究所主催 定期研修会in大阪 保育の評価を考える研修会 

日時 2011年11月25日(木) 10:00〜16:30

場所  チサンホテル新大阪 (新大阪駅徒歩5〜7分)

お申込み・問い合わせ  CHS子育て文化研究所 

     電話 04−2965−8895   Fax  04−2965−8896
     Eメール  chs@cup.ocn.ne.jp

<講習先でのちょっとしたスナップ;熊本県阿蘇高原にて>
阿蘇高原のブルー・ビー

阿蘇高原絵本美術館の庭園で撮影しました。青いミツバチ=ブルー・ビーです。阿蘇高原にしか生息していないそうです。



TOPIC スケールを使っての研修@

「保育を良くしていきたい、でもどこから取り掛かっていいかわからない。」ふらふらこれが多くの人の共通の思いではないでしょうか。ひとつ気になると、「これはあれと関係するし、そうなるとあのこともこのことも・・・」ときりがなくなってしまうということはよくあります。「できることからやっていこうね」という結論になり、結局なにもできないまま日がたってしまうかもしれませんちっ(怒った顔)

保育とは総合的なものですが、総合的によくしていくことはできないと思った方が良いのです。いったん分解してみて、パーツを一つ一つ地道によくしていくとその結果全体がよくなると考えましょうわーい(嬉しい顔)

そのための「視点」「枠組」を示してくれるのが保育環境評価スケールです。
幼児版では43の項目があり、つまり保育を43のパーツに分け、ひとつひとつ点検していく、地味〜な作業です。でも車や機械の点検のことを思えば・・・メンテナンスは何の分野でも大切です。

では具体的にはどうすれば? (続く)

晴れ保育環境評価スケール研究会のHPもご覧ください。
posted by うずちゃん at 05:41| Comment(0) | 保育環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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