2011年07月04日

保育環境評価スケール項目解説・幼児版15「本と絵・写真」

埋橋玲子@保育環境評価スケール
項目解説 幼児版15「本と絵・写真」

1.幼児版15「本と絵・写真」について
この項目では、以下の点を保育の質として重要であるとしています。

−絵本が種類・量ともに多く、子どもが好きな絵本を選べる。
−絵本以外に子どもの使える言語教材がある。
−1日に1回は保育者が主導する言語活動がある(読み聞かせ、パネルシアター等)。
−保育者は個人あるいは小グループで子どもに読み聞かせをする。
−現在の活動テーマに関係した絵本などがある。

背後にある考え方は以下のようなものです。
幼児期に本が好きになることは、生涯にわたって読んだり書いたりすることに影響を与えることになり、そのために保育者の役割には大きなものがあります。保育者は計画的に本の読み聞かせを行うだけでなく、保育場面で子どもの活動に応じて関係のある本を読んだり、小グループでやりとりをしながら読んだりすることで、本を読むことが一人一人の子どもにとってより身近なものになります。本を読むことは楽しい経験でなくてはなりません。子どもが扱えるパネルシアターなどの言語教材があると、言葉を操る楽しさを経験できます。

7月の絵本 7月の絵本棚

つばめの絵本 ツバメを見に行ったとき、記録をツバメの絵本とともに展示

2.「本と絵・写真」の評定のポイント

5.1の「1日の相当の時間」とは、スケールで全保育(開園)時間の3分の1以上の時間を意味します。午前7時に開園し、午後7時に閉園するのであれば、12時間の保育時間であり、その3分の1は4時間ですから、この場合は4時間以上のことです。
全保育時間を園で過ごさない子どももいますが、開園時間を基準にして計算します。

3.幼稚園教育要領、保育所保育指針との対照

【幼稚園教育要領】
第2章 ねらい及び内容/言葉
 
内容(9)絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞き、想像をする楽しさを味わう。
内容の取扱い(3)絵本や物語などで、その内容と自分の経験とを結びつけたり、想像をめぐらせたりするなど、楽しみを十分に味わうことによって、次第に豊かなイメージをもち、言葉に対する感覚が養われるようにすること。

【保育所保育指針】
第3章 保育の内容 1 保育のねらい及び内容
(1)養護に関わるねらい及び内容 イ 情緒の安定 

(イ) 内容 @ 一人一人の子どもの置かれている状態や発達過程などを的確に把握し、子どもの欲求を適切に満たしながら、応答的な触れ合いや言葉がけを行う。
(2)教育に関わるねらい及び内容 エ 言葉
(イ) 内容 J 絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞き、想像する楽しさを味わう。

喫茶店埋橋のつぶやき
英米の保育室を訪ねると、絵本のセンターにポスターが貼られていて、読書の大切さを子ども自身や保護者に訴えていることが珍しくありません。それに比べて、日本ではそのような「読書環境」を子どもに積極的に用意しているとは思えません。
「読書は楽しい、だから子どもにもその楽しさを教えよう」と保育者自身が思っているかどうか。保育室の絵本棚を眺めると、そのクラスの先生が本好きかどうか一目瞭然です。ときには、無造作につっこんであったり、破れていても気にしていなかったりする先生がいます。破れた本がいつまでも放置されていると、「ものを乱暴に扱っていいんだ」と子どもに教えているようなものであり、「自分には破れた本で十分なんだ」と思わせているようなものです。
なぜ読書は楽しいか。それは「今、ここにいる自分」が時間と空間を超えて、遠くにいる人歴史的な人を含めいろいろな人に出会い、未知の事物に出会わせてくれる喜びがあるからです。物語の中の主人公と自分を同一視して、実際の生活では味わえないような経験をしたり、感情を味わったりすることができるからです。楽しい気持ちだけではなく、つらい気持ちや悲しい気持ちを主人公とともに味わい、わかちあい、自分の慰めと励ましにできるからです。精神の自立とはそういうことでもあるのではないでしょうか。
だから保育室の絵本も多様なジャンルから揃えておくことが必要です。物語絵本だけではなく、図鑑、絵の本、写真の本・・・、物語にしても、日本のもの、外国のもの、昔話から創作もの、伝記ものと。
子どもをよく観察し、今のその子どもが必要としている「本」に出会わせることも保育者の大切な役割でしょう。知りたいことが載っている本は、魅力的なものです。子どもは、「知りたかったら、本を開けばいいんだ」と学ぶでしょう。さびしかったり悲しかったりという気持ちの時は、同じような気持ちをもった物語の主人公に出会わせると、次からひとりでもその主人公と友だちになれるでしょう。
でも絵本で説教したら逆効果だし、底の浅いみえみえの絵本をおくのは芸がない。本選びは保育者の腕の見せ所かな。

ひらめき保育環境評価スケール研究会のHPもご覧下さい。
ラベル:絵本
posted by うずちゃん at 03:40| Comment(0) | 言語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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