2011年07月22日

保育環境評価スケール・項目解説 

埋橋玲子@保育環境評価スケール
目解説 幼児版17 推理スキル発達のための言語使用
 Using language to develop reasoning skills


1.幼児版17「推理スキル発達のための言語使用」
この項目では、以下のことを保育の質として重要としています。

−保育者は論理的な(筋道のたった)ものの考え方ややりかたを示す。
−子どもが論理的に考えることができるような保育者の援助がある。

背後には次のような考えがあります(All about the ECERS-R , pp169)。
言語は他の人とのコミュニケーションの道具として働くだけでなく、私たちが何かを考えるときの枠組みを与えてくれるものでもあり、私たち自身や周囲の事物に対する理解を助けてくれるものでもあります。子どもは基本的な論理的概念(例 同じ/違う、原因/結果)について学ばなくてはなりません。子どもの実体験におとなが言葉を与えることが何度も繰り返されることで、子どもは概念を学んでいきます。

幼児期に、見る・聞く・触る・嗅ぐ・味わうといった五感をとおして概念や論理の枠組みを発達させていきます。概念とは抽象的なものであり、どのようにものごとが関連しているかを考えるときに用いるものです。あれとこれは同じか、違うか。動物はどう分類されるか。どうやって数えるか。子どもは日常生活と目的を持った教材に接することの両方から、多くの実体験を通して抽象的な概念を獲得していかなくてはなりません。

保育者は、子どもの日常の生活や遊具や教材で遊ぶ中から、ある特定の場面や経験をとりあげ、それらについて的確な言葉を用いて説明することで子どもの概念発達を援助することができます。子どもの発達段階を見極めて適切な説明の仕方をすることが大切です。子どもは繰り返し実体験を重ねていくことで最もよく学ぶものですが、このとき保育者の言葉かけが大きな影響を与えることを忘れてはいけません。

前にも書いたことですが、「言語−推理」というタイトルがわかりにくいかもしれません。言語はともかく、「推理」とは?「推理小説」ではものごと(または、人)とものごとの関係を丹念に突き詰めていきますね。ここでいう「推理」もそのようなことで、ものごとの関係を正確に把握する、と言ったような意味合いです。論理的である、ということです。身の回りに起こったことについて、「〜だから・・・だ」とそのつながりに気付くことです。そうすれば、「筋道をたてる」ことができ、「見通しをもつ」ことができます。「きまり」に気付き、守ることも、なぜそうするのかが理解できていないと身には付きません。

2.評定のポイント

子どもの考える力を伸ばすような、保育者の実際の言動が観察されなくてはなりません。すぐに判断をしないで観察を続け、評点をつけるのは観察時間の終わりの方にする項目です。

3.幼稚園教育要領、保育所保育指針との参照

【幼稚園教育要領】
第2章 ねらい及び内容 環境
2 内容
(2)生活の中で、様々なものに触れ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
(7)身近なものや遊具に興味を持って関わり、考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
3 内容の取扱い(1)幼児が、遊びの中で周囲の環境と関わり、次第に周囲の世界に好奇心を抱き、その意味や操作の仕方に関心を持ち、ものごとの法則性に気付き、自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。特に、他の幼児の考えなどに触れ、新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい、自ら考えようとする気持ちが育つようにすること。
第3章 指導計画(略)などの留意事項
第1 指導計画の作成にあたっての留意事項 1 一般的な留意事項
(9)幼稚園においては、幼稚園教育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。

【保育所保育指針】
第3章 保育の内容 
1 保育のねらい及び内容 (2)教育に関わるねらい及び内容
ウ 環境 (イ)内容
C 生活の中で、様々なものに触れ、その性質や仕組みに興味や関心を持つ。
H 身近なものや遊具に興味を持って関わり、考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
3 保育の実施上の配慮事項
(1)保育に関わる全般的な配慮事項
ウ 子どもが自ら周囲に働きかけ、試行錯誤しつつ自分の力で行う活動を見守りながら、適切に援助すること。
(3)3歳以上児の保育に関わる配慮事項カ 自然との触れ合いにより、子どもの豊かな感性や認識力、思考力及び表現力が培われることを踏まえ、自然との関わりを深めることができるよう工夫すること。
ケ 保育所の保育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに留意し、幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活などの基礎を培うようにすること。

喫茶店埋橋のつぶやき

保育には心理学の知識が欠かせないものですが、ピアジェの心理学はあまり養成校で学ばれていないように思います。同化と調節、自己中心性等々、基本的概念やなどの用語についての意味は学んでいるかもしれませんが、具体的に保育の場面や子どもの行動にどう現れるかというところまではなかなかつながっていないように見えます。
ピアジェ理論に基づく教育方法は一部ではとりいれられていますが、なかなか一般的なものではありません。しかしピアジェの考え方を保育の場にあてはめてみると「ああそうだったのか」と思われることがあります。日本の保育の場面を見ると、フレーベルやモンテッソーリの考え方が生きているのがわかります。英米ではピアジェの考え方がハイスコープなどのメジャーなプログラムのもととなっており、フレーベルやモンテッソーリとならんで保育現場では広く行き渡っている考え方です。
何か「枠組み」をもって子どもの言動を解釈し、その枠組みに沿って言葉かけを行ったり環境を整えたりというやり方は、あまり私たちにはなじみがないものかもしれません。枠組みにとらわれて、子どものありのままが見えなくなってしまう、という考え方もあるでしょう。枠組みを持ちながらそれに固執せず柔軟な見方を・・・といってごまかす手もありますが、何か枠組みをもち、忠実に当てはめることで見えてくるものがあるのではないか、と思います。おっとこれは保育環境スケールについての私の言い分と同じですね。

ひらめき保育環境評価スケール研究会のHPもご覧下さい。
ラベル:言語 推理
posted by うずちゃん at 21:47| Comment(0) | 言語・推理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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