2011年06月23日

保育環境評価スケール/項目解説/<幼児版11>午睡/休息、<乳児版8> 午睡

埋橋玲子@保育環境評価スケール
項目解説/ 個人的な日常のケア/ <幼児版11>午睡/休息、<乳児版8> 午睡

1 幼児版11「午睡/休息」、乳児版8「午睡」について
この項目では以下の点を保育の質として重要であると考えています。

−衛生的な環境のもとで睡眠ができる。
−日課の中の適切なタイミングで子どもは睡眠や休養をとれる。
−睡眠や休息について個別のニーズを大切にする。
−適切な見守りがある。

背後にある考え方は以下のようなものです。
長時間集団の中で過ごす子どもには、午睡などで休養をとるか、リラックスして静かな活動をする時間が、益あるものとなります。年長の子どもは年少の子どもほど長い睡眠はとらないでしょう。また必要のない子どもがいますが、そのような子どもでも静かに過ごす時間は必要です。

乳児の場合、安全面での配慮が特に必要になります。また午前睡が必要な子どもとそうでない子どもがいたりなど、個別的な日課が考えられなくてはなりません。遊びの中で疲れてしまった子どもを寝床に連れて行き、また目覚めた子どもはたとえばベビーベッドの中にいつまでも居させられるようなことがないように、よく子どもの様子を見守っていることが必要です。

必要な睡眠を取らせることは大切ですが、子どもによっては睡眠を取らなくてもよい子どもがいます。一律に午睡を強制するのではなく、そのような子どもには静かな遊びで過ごさせるなど、個別的な対応が必要になります。

2 「午睡/休息」「午睡」の評定のポイント

直接観察で判断しますが、できない場合は聞き取りで午睡の状況を判断します。

オリジナルのスケールでは、寝床と寝床の間隔が感染防止のために一定程度離れていなくてはいけないとしています。子どもは遊びの中で触れあって遊ぶことが多く、寝ている時だけ離しても意味がないではないかという考えもありますが、オリジナルでは、そのことを認めた上で感染の機会は最小限にとどめるべきだとしています。日本の場合は、厚生労働省のガイドライン上で、昼寝の時に寝床の間隔が狭いことは感染の要因として認めつつもそれに対する対処法は求めてはいません。したがって日本版では、オリジナルのスケールでは例示として示されている寝具と寝具の間隔の条件をはずしています。

3.幼稚園教育要領・保育所保育指針への参照
【保育所保育指針】
第3章 保育の内容/1 保育のねらい及び内容(1)養護に関わるねらい及び内容
ア 生命の保持

(イ)内容C 子どもの発達過程に応じて、適度な運動と休息を取ることができるようにする。また、食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどについて、子どもが意欲的に生活できるよう適切に援助する。
イ 情緒の安定
(ア)ねらいC 一人一人の子どもの心身の疲れが癒されるようにする。
(イ)内容C 一人一人の子どもの生活リズム、発達過程、保育時間などに応じて、活動内容のバランスや調和を図りながら、適切な食事や休息がとれるようにする。
第3章 保育の内容/1 保育のねらい及び内容(2)教育に関わるねらい及び内容
ア 健康

(ア)ねらいB 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
(イ)内容D 健康な生活のリズムを身につけ、楽しんで食事をする。
   F保育所における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。

【その他】

厚生労働省 政策レポート 乳幼児突然死症候群対策強化月間について
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2010/11/02.html
保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省 平成21年)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku02.pdf

喫茶店埋橋のつぶやき
著者のテルマ・ハームス博士は寝具と寝具の間隔を非常に重視します。でもオリジナルを厳格に適用すると、日本の保育所は多くが「不適切」と評価されてしまうし、保育室の状況からみて現実的ではありません。ただ、できる範囲で間隔をとるようにすることは努力されてよいかな、と思います。
アメリカで訪ねた保育室では、遊びのコーナーが常設されているため、あちらこちら床の上にコット(簡易ベッド)を置いてやすんでいました。ベッドの位置は定位置で、配置図が壁に貼ってありました。
スウェーデンで訪ねたところはお昼寝の部屋が別にありましたが、寝具の間隔はせまく、スケールによれば「不適切」ですが、別室があるということは保育の質という観点からは高いのではないかなあと思います。
ドイツで訪ねたところは、寝具はおそろいで、並べて敷かれても美しい感じでした。もちろん個人用で収納は別々で感染防止は文句なしでした。さすがドイツ!
日本の保育所のお昼寝の写真で好きなのは、夏の日に長いござをしいて、そこに等間隔で子どもがぐっすりと寝ている姿です。気持ちいいだろうなあ・・・でもどう評定しよう?
「おひるね」の時間はなかなか悩ましいものです。
そういえば「お金をもらって子どもを預かっているのに昼寝をさせるのは申し訳ない」というお考えを耳にしました(日本)。保育指針の関連部分を読めば「後ろめたさ」はなくなるでしょう。その子どもの体調維持のためにきちんと睡眠をとらせて見守るのですから、その間保育者が手を抜くわけではないのです。眠くない子どもには静かな活動をさせて、活動的な子どもなりに静かな時間の過ごし方を経験させるのも悪くないでしょう。睡眠や休息の意味を子どもが理解できるのも大切なことでは、と思います。
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2011年06月20日

保育環境評価スケールR2/項目解説/個人的な日常のケア/幼児版10・乳児版7「食事・間食」

埋橋玲子@保育環境評価スケール
項目解説/ 個人的な日常のケア/ <幼児版10><乳児版7> 食事・間食

1 幼児版10・乳児版7 「食事・間食」について
この項目では、以下の点を保育の質として重要であるとしています。

 −食事・間食のタイミングが適切である。
 −栄養の観点からみて適切である。
 −衛生的である。
 −食事を楽しむ雰囲気がある。
 −子どもはそれぞれの発達に応じて、自分でできることは自分でできるようになっている。
 −食事について個別のニーズに対応している(例 アレルギー、障がい)。
 −家庭との連携がある。

背後にある考え方は次のようなものです。
幼児教育の場は、生涯をとおして役に立つ、健康な食生活の基礎を作る機会でもあります。しっかりと食事をしないと、学びに対する意欲も出てきません。多様な食材を用い栄養面でバランスのとれた食事を提供すれば、子どもは家庭では与えられないような、あるいは自分から選ばないような食べ物に慣れていくようにもなります。
乳児保育ではとりわけ子ども一人ひとりの栄養的・発達的ニーズに沿うことと集団保育の場での衛生面の注意が必要になります。食事をめぐっておとなからの語りかけは、学びの機会でもあります。

食事の場は私たちの社会での重要な社交の場でもあります。仲間と楽しく過ごせるように、そして食卓でのマナーを学んだり、食事の準備をしたり、食べた後をきれいにしたり、手洗いの習慣を身につけたりするなど、「食事・間食」は多くの社会的スキルを獲得する機会なのです。

2011ロンドンCC食事.JPG ロンドンのあるチルドレンズ・センターでのランチタイム。グループ別に食卓につき(このときは所属のクラス単位ではない)、各グループには必ずディナー・レディと呼ばれる担当者がつく。(写真ではまだ担当者は着席していない)

2.「食事・間食」についての評定のポイント

この項目については必ず直接観察を行います。

乳児版のチェック項目に「5.4 保育者は子どもと会話を楽しむ」とあります。まだ言葉の出ていない乳児の場合にどうするか。会話の基本は相互関係にあります。自分から話すことはできない乳児の場合、保育者は働きかけをし、その反応を確かめながら食事を進めているかどうかをみます。「もぐもぐ、かみかみ、ごっくん」と機械的に語りかけてスプーンを口の中に押し込むのは「会話」ではありません。子どもは「栄養を注入される」のではない、「食事を楽しむ」経験が必要なのです。



3.幼稚園教育要領・保育所保育指針との参照
【幼稚園教育要領】
第2章 ねらい及び内容 / 健康 

2 内容 (5)先生や友達と食べることを楽しむ
3 内容の取扱い
(4)健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏まえ、幼児の食生活の実情に配慮し、和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさを味わったり、様々な食べ物への興味や関心をもったりするなどし、進んで食べようとする気持ちが育つようにすること。
(5)基本的な生活習慣の形成に当たっては、家庭での生活経験に配慮し、幼児の自立心を育て、幼児が他の幼児と関わりながら主体的な活動を展開する中で、生活に必要な習慣を身につけるようにすること。

【保育所保育指針】
第3章 保育の内容 (2)教育に関わるねらい及び内容  ア 健康

(イ)内容 @健康な生活のリズムを身につけ、楽しんで食事をする。
第5章 健康及び安全 3 食育の推進
 保育所における食育は、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標として、次の事項に留意して実施しなければならない。
(1) 子どもが生活と遊びの中で、意欲をもって食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う子どもに成長していくことを期待するものであること。
(2) 乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助がおこなわれるよう、食事の提供を含む食育の計画を作成し、保育の計画に位置付けると共に、その評価及び改善に努めること。
(3) 子どもが自らの感覚や体験を通して、自然の恵みとしての食材や調理する人への感謝の気持ちが育つように、子どもと調理員との関わりや、調理室など食に関わる保育環境に配慮すること。
(4) 体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもなど、一人一人の子どもの心身の状態等に応じ、嘱託医、かかりつけ医等の指示や協力の下に適切に対応すること。栄養士が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ること。

4.その他参照

幼稚園における食育の推進について(文部科学省 平成19年1月)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/08080814/001.htm

学校における食育の推進・学校給食の充実(文部科学省HP)
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/index.htm

児童福祉施設における食事の提供ガイド(厚生労働省 平成22年3月)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/s0331-10a.html

「第2次食育推進計画」にもとづく保育所における食事の推進について(厚生労働省 平成23年5月)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T20110531N0010.pdf

「第2次食育推進計画」にもとづく子どもの健康作りのための食育の推進について(厚生労働省 平成23年5月)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou04/pdf/01-05.pdf

喫茶店埋橋のつぶやき
スケールの観察はいつも食事の観察で終わります。「おいしそうだな〜」と思い、食欲を刺激されます。いつもながら、「日本の保育所の食事って何て素晴らしいんだろう」と思います。
中には食事中に園の栄養士さんが回ってきて、子どもたちの食べる様子を観察したり、直接子どもたちに感想を尋ねたりしているところもあり、園の熱意を感じます。
食器は○○焼きが手触りよく安定感がある、とか、食材は地産のものをとか、本当に様々な工夫がなされています。
小学校での給食の内容も素晴らしいと思います。でも先日、小学校3年生か4年生の給食の風景を見て驚きました。食べ方がいかにも美しくないのです。食器の持ち方が妙であったり、肘をついていたり・・・せっかく素敵な食事を提供されているのに・・・
「家庭の躾が」と家庭にその責任を問い、改善策を家庭に求めてももはやその機能を失いつつあるのが現実です。日々の生活に追われてそのようなゆとりを失った大変さを認めてしまって、集団という場で「食事のスキル」を子どもに学ばせる方が得策というものでしょう。
家庭ではなく集団の場ではスキルとして教えられることで、子どもは身につけやすいと思います。
ときどき思い出すのが、私自身が保育園でのお泊まり保育の朝食の時、園長先生が「大きなお皿から取るときは、すぐに口に入れてはいけないよ。いったん自分のお皿にとろうね」と教えて下さったことです。いつもと違う場面での新鮮な気分とともに、小さなマナーではありますが、記憶に刻み込まれたものでしょう。
幼児教育の役割は大きい!と思います。


ひらめき保育環境評価スケール研究会のHPもご覧ください。
ラベル:食事 食育
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2011年06月18日

保育環境評価スケール・ラウンド2/項目解説/個人的な日常のケア

埋橋玲子@保育環境評価スケール
項目解説/<幼児版9><乳児版6>個人的な日常のケア

環境評価スケール・ラウンド2は大項目「個人的な日常のケア」および「聞くことと話すこと」の項目解説です。

1.大項目「個人的な日常のケア Personal Care Routines」について
この大項目は、以下6つの小項目で構成されています。
   −登園/降園
   −食事/間食
   −午睡
   −排泄/おむつ交換 (乳児版は おむつ交換/排泄)
   −保健
   −安全
これらの項目は、保育所保育指針を引けば「生命の保持」にかかわるものです。乳児(3歳未満)と幼児(3歳以上)と大きく分けた時に、乳児の場合はおとなが中心になってケアをする保護的な姿勢が優勢です。おとながケアしながら、徐々に生命の保持に関係する自律的な習慣形成に移行させていくのが乳児の段階で、幼児では基本的な生活習慣が身につき、主体的に「自らの生命の保持」に関わっていこうとする姿勢を養う段階となります。
「個人的な日常のケア」に関して、保育の質を子どもの育ちという観点から具体的な行動レベルに注目すると、乳児期で「質の高い保育」を受けている子どもは、幼児期に排泄の後や食事の前の手洗いがきちんとできています。
2歳児は3歳未満児として<乳児>のくくりに入っていますが、乳児から幼児の移行期として非常に重要な段階です。「やってもらう」ことで生活に基本的なリズムや構造があることの安定感やケアされることの身体的快感を身につけた上で、徐々に「自分でやってみる」ことを身につける時期です。
3歳までのこの育ちが保障されていると、3歳以後の身辺自立がスムーズで、その力が遊びや学びの底支えをします。




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2.幼児版9・乳児版6「登園/降園」について

この項目では、以下の点を保育の質として重要であるとしています。

−家庭と園での生活の連続性(スムーズな移行)
−保護者との連携

具体的には、次のようなことを見ていきます。
・登園の時に、保育者が子どもを適切に迎え入れているかどうか。
    あいさつ、表情、会話、子どもの不安(もしあれば)に対しての適切な対応
・降園の時に、子どもが気持ちよく帰宅できる状態かどうか
    持ちかえるものなどの準備、遊びの区切り
・登降園の時に保護者との適切な関わりがあるか
    あいさつ、情報交換、保護者に対する日常的なサポート

背後にある考え方は次のようなものです。
この項目は社会的・情緒的安定にかかわるものであると同時に、安全にも関係します。
子どもが園での生活を気持ちよくスタートさせたかどうかは、その日一日をどう過ごせるかと大きく関わります。温かく迎えられると、自分はクラスの中で大切にされている感覚を持ちます。気持ちよく園を後にすることは明日への期待につながります。
保護者は安心して自分以外の人に子どもを委ねることができます。保育室内の様子が分かれば保護者の不安は解消されます。また登降園時は子どもについての情報交換の機会でもあります。
安全という観点からは、登園の際に保護者と保育者がきちんとあいさつを交わすことで子どもに対する責任が保育者に託されたことが明確になります。降園の際のあいさつは、誰が迎えに来たかを確認することになります。


【幼稚園教育要領・保育所保育指針との参照】

●幼稚園教育要領
第3章・第1 指導計画の作成にあたっての注意事項
1 一般的な注意事項
(8)幼児の生活は、家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留意し、家庭との連携を十分に図るなど、幼稚園における生活が家庭や地域社会との連続性を保ちつつ展開されるようにすること。(略)また、家庭との連携に当たっては、保護者との情報交換の機会を設けたり(略)、保護者の幼児期の教育に関する理解が深まるよう配慮すること。
●保育所保育指針
第3章 保育の内容・2 保育の実施上の配慮事項

(2)乳児保育に関わる配慮事項
エ 保護者との信頼関係を築きながら保育を進めるとともに、保護者からの相談に応じ、保護者への支援に努めていくこと
第6章 保護者に対する支援・2 保育者に入所している子どもの保護者に対する支援
(1)保育所に入所している子どもの保護者に対する支援は、子どもの保育との密接な関連の中で、子どもの送迎時の対応、相談や助言、連絡や通信、会合や行事など様々な機会を活用して行うこと。
(2)保護者に対し、保育所における子どもの様子や日々の保育の意図などを説明し、保護者との相互理解を図るよう努めること。

3.「登園/降園」について評定のポイント

あいさつが交わされているかどうかについて評定をするのであり、その時の子どもの状態は関係ありません。観察事例が少ない場合、観察できた事例に基づいて判断します。1〜2例かもしれませんが、それらをサンプルとします。降園時の観察ができない場合は、質問をして情報を得ますが、登園時の観察に基きます。登園時の状況が保護者と保育者の接触がなかったり、混乱したものであったりすれば、降園時のときもおおむね同様の状態であると推測されます。

喫茶店埋橋のつぶやき
子どもを園に預けるのは、荷物を預けるのとは違うと思います。保育は、お金を入れたらジュースが出てくる自動販売機と同じではありません。保護者の「お願いします」、保育者の「お引き受けします」というやりとりが(そのような言葉を使わなくても)日々確実に交わされることが大切と思います。
posted by うずちゃん at 09:15| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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